イラストレーター/アーティスト松尾たいこの 日々のこと・映画・本・旅など


by taikoma
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ナニカアル(桐野夏生)

ナニカアル

桐野 夏生 / 新潮社

林芙美子の日記をそのまま掲載したのでは?っていうぐらいリアルな感じ。

桐野さんってすごい。

最後のページにものすごい量の参考文献がリストアップされていて、これだけ取材をして研究をして書いたからなんだなあと納得。
きっともう桐野さん=林芙美子になっちゃってたのかも。
(読んでる間、私の頭の中では一緒になっちゃってた。)

林芙美子さんの生き方とか考えてた事なんて、まったく知らなかったけど、この本を通して、彼女のように自分の力で生活していた女性が、その時代にどう生きて何を考えていたのかが伝わってくるような気がしました。

あんな時代に、自分の気持ちを貫いて自分の道を切り開いて生きていた芙美子・・・その強さに圧倒されます。

あとやっぱりありきたりだけど戦争はいやだ。
そういう時って全ての価値観が表面的に様変わりして、ここぞとばかり威張って人々を操ろうとする人たちってなんて心が貧しいんだろう。

そして作家たちが自由に書けず戦争に利用されていく様子も怖い。
誰を信じていいのか疑っていいのかわからない状況って言うのも。

同じ方向を向く事をいきなり強制されたら、そこに反抗する事への罪悪感と恐怖も加わったら、こんな事になるんだろうか。

でも芙美子の彼にはあんまり魅力を感じなかったなあ。
海外だとちょっと心細い気がして惹かれちゃったのかなと思ったり。
桐野さんの事だから、そういう事もちゃんと考えて描いてるんだろうなあ。

もういろんな人たちの、ずるいところもいいところも醜いところも悪人になりきれないところもいっぱい描かれていて、だからそれぞれの人が気になっちゃう。

それから戦時中の街や生活の描写もおもしろくって、戦時中の車も走っていない閑散とした銀座を芙美子が派手な着物で歩いてる姿とか実際に頭の中に絵として浮かんできちゃったり。

林芙美子の放浪記をもう一度読んでみようと思いました。


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by taikoma | 2010-04-08 23:23 |